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整形外科 尾形クリニック

整形外科 尾形クリニック

089-961-4154
〒790-0923 愛媛県松山市北久米町38番8

整形外科 尾形クリニック

骨粗鬆症

Osteoporosis

骨粗鬆症Osteoporosis

骨粗鬆症の診断と治療について

骨粗鬆症で骨折が起こる原因 背骨が骨折すると腰や背中が曲がる

背骨(せぼね)が骨折すると腰や背中が曲がり、背が縮みます。
骨粗鬆症を予防・治療し、骨折を防ぎましょう。そのためには正しい診断と正しい治療が不可欠です。

まず正しい方法で骨密度を測定しましょう

DXA法

DXA法の測定機器

骨粗鬆症治療でまず一番最初にしなければならないことは「正しく骨密度を測る」です。このためにはDXA法という測定方法が必要です。
腰椎(第1腰椎から第4腰椎)と股関節(大腿骨頸部)で測定し、低い方の骨密度で判定します。
当院では骨密度測定はDXA法で行っています。

その他、かかとや前腕で測る簡易的な骨密度測定もありますがこれらは精度の高い方法ではありません。ガイドラインでもDXA法で腰椎と股関節で評価することが推奨されています。
骨粗鬆症の治療は年単位の長い治療になります。本当にその薬が必要かどうかを最初にきちんとした測定(DXA法)で治療方針を決めるべきです。

かかとで測定(超音波)
かかとで測定(超音波)
前腕で測定
前腕で測定

背骨の骨折(いつの間にか骨折)に要注意

骨粗鬆症の診断基準では骨密度低下、あるいは転倒などの軽微な力で脊椎や股関節に骨折が生じた場合に骨粗鬆症と診断されます。

「骨密度が高くてもせぼねが骨折する」人はいます。これも治療が必要な骨粗鬆症です。

背骨の骨折はレントゲンで胸椎12個、腰椎5個の合計17個の骨を丁寧に見なくては見逃します。骨粗鬆症の診断と治療で最も難しいのはこの「背骨の骨折を見つける」ことです。大きく骨がつぶれていれば、わかりやすいですが、少しだけつぶれている場合や骨折の初期で、これからつぶれていくような場合にはレントゲンでは判別しにくいこともあります。

「レントゲンでは明らかな骨折は見られないが、患者さんが明らかに腰や背中を痛がっている場合」には当院ではMRI検査を行います。MRIは小さな骨折・初期の骨折を見つけるのは得意です。

背骨の骨折
背骨の骨折

初期の骨折を見落とすと、骨粗鬆症患者では圧壊(つぶれること)による変形が進行し、腰の曲がった人になってしまいます。そうなると治すのにかなり大掛かりな手術が必要になります。

「小さな、あるいは初期の骨折を確実に見つけて、早期にしっかりと固定し、腰の曲がった人を作らない」ことが整形外科医(特に脊椎脊髄病専門医)の使命です。当院では初期の骨折にギプス固定やプラスチック製の硬いコルセットでの固定を積極的に行っています。

ガイドラインに沿った診断と治療方針の決定

骨粗鬆症の治療はガイドラインに沿って行われます。日本骨粗鬆症学会はこのガイドラインを遵守し骨粗鬆症治療を行っていく医師を養成するために認定医制度を作っています(現在愛媛県では21人の医師が認定医を持っています)。

骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2025年版
骨粗鬆症認定医の認定証
まずは骨粗鬆症の診断基準を以下に示します
  • 脆弱性骨折が脊椎あるいは股関節に1つでも生じている
  • 脊椎・股関節以外(手関節や肩関節など)に脆弱性骨折があり、骨密度が若い人の平均値の80%以下
  • 脆弱性骨折が無い場合、骨密度が若い人の平均値の70%以下

骨粗鬆症とは「骨が折れやすい状態」を指し、必ずしも骨密度低下を伴うものではありません。脆弱性骨折とは立っている位置から転倒するなどの軽微な外力で起こってしまう骨折です。この脆弱性骨折が脊椎あるいは股関節に生じると、骨粗鬆症の診断が確定します。
骨粗鬆症診断を正しく行うために必要なことは

  • 骨密度を正しい方法(DXA法)で測定すること
  • 脊柱(胸椎・腰椎合わせて17個)の骨折を見逃さないこと

の2つです。

カルシウム倉庫のイラスト

「とりあえず高齢者だから骨粗鬆症の薬を出しておこう」では決して治療はうまくいかず、かえって害になることもあります。骨粗鬆症の最適な治療法を選ぶことは実は難しいです。骨粗鬆症の治療薬を決めるときには、患者さんの骨粗鬆症の状態に合った薬を選ぶことが必要です。
治療を始める際には必ず血液検査を行います。 基本は、患者さんの骨を作る力が落ちてないか、骨を溶かす力が増えていないか、そして血液中のカルシウムは足りているか、腎機能低下などは起こっていないか、です。
骨はタンパク質(コラーゲン)とカルシウムの合成体です。
カルシウムは単に身体の支えである骨を作っているのではなく、生命維持活動に最も重要な要素です。それ故に、体内に莫大なカルシウムの貯蔵が必要であるため、骨がカルシウムでできています。人間は常に骨のカルシウムを取りだして、生命維持活動に使って、それを常に食事などで補給しています。このバランスが崩れるのが骨粗鬆症です。

原因は

  • カルシウムを骨に貯蔵する能力が落ちている
  • 骨からカルシウムを取り出すスピードが速すぎる

が考えられます。
そこで血液検査です。

  • 骨形成マーカー:P1NP 骨を作る力を示しています。
  • 骨吸収マーカー:TracP5b 骨を溶かす力を示しています。

これらを考えて最適な治療薬を選択します。
しかし、必ずしも理論通りの結果が出るわけではありません。
血液検査は定期的に行い、常に治療薬を見直していかなければなりません。

骨粗鬆症のタイプと治療薬の選択
骨粗鬆症治療中の定期検査

骨の吸収が増えていることによる骨粗鬆症には、骨吸収抑制作用のある薬(ビスフォスフォネート、SERM、デノスマブなど)が選ばれますし、骨を作る力が低下している骨粗鬆症にはビタミンD製剤でカルシウムの吸収を増やしたり、骨形成促進作用のあるテリパラチドやロモソスマブが選ばれます。しかしそれだけではなく、腎機能などの他の要素や薬の価格などを総合的に判断して患者さんにお勧めの薬を提示します。

治療薬を適切・安全に使うための定期検査

骨粗鬆症は全身の病気です。治療薬を使う際には必ず定期的に血液検査を行い、治療薬を安全に使うように心掛けなければなりません。

よくあるのは高カルシウム血症です。骨を強くするためにカルシウムの吸収を増やすビタミンD製剤を使用すると、特に高齢者では血中のカルシウムが増えすぎて、腎臓に負担をかけて腎機能が低下していくことがあります。血液検査では血清アルブミンの測定も必須です。身体の栄養状態の指標になるだけでなく、低アルブミンの人ではカルシウムの計算値が異なってきますので、必ずアルブミン値で補正しなければ高カルシウム血症を見落とします。最近の「効果の高い薬」にはそれなりのマイナス面もあり、治療が長期に及ぶ骨粗鬆症では常に治療の弊害が生じていないかをモニターする必要があります。

また、定期的に骨密度も測定し、期待していた効果が得られているかどうかを見ることも重要です。十分な効果が得られなければ治療法を見直さなければなりません。さらに経過中に身長が縮んだり、背部や腰に痛みや違和感が生じたりすると脊椎の骨折が起こっているかもしれません。骨粗鬆症の脊椎骨折は「いつの間にか骨折」と呼ばれ、痛みがあまりなくても骨折していることがあるからです。あやしい場合にはとにかく背骨のレントゲンを撮ることが大切です。

このように骨粗鬆症治療の間は患者さんの状態から目を離さないように、安全に骨を強くしていかなければなりません。

骨粗鬆症治療中の定期検査

薬だけでなく食事や運動も大切

骨粗鬆症の治療では薬だけでなく、栄養や運動も大切です。

栄養について

カルシウムの摂取不足に加え、骨形成に重要なビタミンDやビタミンK、骨の材料でもあるコラーゲンの合成に必要なたんぱく質の摂取不足も問題となります。

  • まずはカルシウムから:
    骨粗鬆症財団の作成したカルシウム自己チェック表はたいへん便利で当院でも使っています。毎日の食事習慣のことなので、患者さんが自分がどのくらいカルシウムをとれているのかを自覚することがスタートです。食事を含めた生活習慣の改善が大切なことは、高血圧の治療などと変わりません。どうしても摂取が困難な人はカルシウムやビタミンDを添加した食品やサプリメントをお勧めすることもあります。
  • ビタミンDとビタミンKについて:
    これも骨粗鬆症財団がわかりやすい資料を作っています。ビタミンDは日光に当たると皮下で合成されますので「日光を浴びる」もとても重要で効果的です。屋外で日に当たりながら散歩すると運動とも一石二鳥の良い治療となります。
  • たんぱく質:
    栄養状態が悪くなると骨を作る材料が減るだけでなく、筋肉量も低下していきます。高齢者では筋肉量の低下は骨折を引き起こす転倒の原因にもなります。「骨折を防止すること」が骨粗鬆症治療の最終目標なので、筋肉量を維持することはたいへん重要です。骨粗鬆症患者さんでは、体重の低下や血液検査で血清タンパクやアルブミンの低下を見つけることができますので、患者さんの栄養状態について適切に指導していくことができます。
運動について

骨粗鬆症の骨折の多くは転倒することによって起こります。足腰が弱って転倒する、部屋で何かに引っかかって転倒する、さらに身体のバランスが後方に寄っており、しりもちをつくなどが考えられます。以下に対策を示します。

身の回りの環境整備
  • スリッパはできるだけはかない
  • 段差に気を付ける
  • 手すりを付ける
  • 床に物を置かない
  • 電気コードなどが部屋を横切らない

ウォーキングのイラスト

普段から運動を行い、筋力低下を防ぐ

まずは毎日歩くことです(階段昇降やジョギングは転倒リスクや膝の悪い人に使いにくい)
基本毎日、最低でも週5日、1回は20分以上。

20分のウオーキングとは

  • ゆっくり歩き:約1,500〜2,000歩
  • 普通の速さ:約2,000〜2,500歩
  • 速歩(早歩き):約2,500〜3,000歩

できれば1日3000歩をクリアしてほしい。

転倒防止のための運動例

転倒のイラスト

高齢者では腰や背中が曲がり、身体のバランスが後ろになることがあり、後方へしりもちをついて脊椎骨折を起こすことがよくあります。尾形クリニックの提案する体操は「背筋を伸ばし、身体のバランスを前方にもっていくようにする」運動です。

転倒予防ストレッチ① 転倒予防ストレッチ② 転倒予防運動① 転倒予防運動②