骨粗鬆症
Osteoporosis
Osteoporosis
背骨(せぼね)が骨折すると腰や背中が曲がり、背が縮みます。
骨粗鬆症を予防・治療し、骨折を防ぎましょう。そのためには正しい診断と正しい治療が不可欠です。

骨粗鬆症治療でまず一番最初にしなければならないことは「正しく骨密度を測る」です。このためにはDXA法という測定方法が必要です。
腰椎(第1腰椎から第4腰椎)と股関節(大腿骨頸部)で測定し、低い方の骨密度で判定します。
当院では骨密度測定はDXA法で行っています。
その他、かかとや前腕で測る簡易的な骨密度測定もありますがこれらは精度の高い方法ではありません。ガイドラインでもDXA法で腰椎と股関節で評価することが推奨されています。
骨粗鬆症の治療は年単位の長い治療になります。本当にその薬が必要かどうかを最初にきちんとした測定(DXA法)で治療方針を決めるべきです。
骨粗鬆症の診断基準では骨密度低下、あるいは転倒などの軽微な力で脊椎や股関節に骨折が生じた場合に骨粗鬆症と診断されます。
「骨密度が高くてもせぼねが骨折する」人はいます。これも治療が必要な骨粗鬆症です。
背骨の骨折はレントゲンで胸椎12個、腰椎5個の合計17個の骨を丁寧に見なくては見逃します。骨粗鬆症の診断と治療で最も難しいのはこの「背骨の骨折を見つける」ことです。大きく骨がつぶれていれば、わかりやすいですが、少しだけつぶれている場合や骨折の初期で、これからつぶれていくような場合にはレントゲンでは判別しにくいこともあります。
「レントゲンでは明らかな骨折は見られないが、患者さんが明らかに腰や背中を痛がっている場合」には当院ではMRI検査を行います。MRIは小さな骨折・初期の骨折を見つけるのは得意です。
初期の骨折を見落とすと、骨粗鬆症患者では圧壊(つぶれること)による変形が進行し、腰の曲がった人になってしまいます。そうなると治すのにかなり大掛かりな手術が必要になります。
「小さな、あるいは初期の骨折を確実に見つけて、早期にしっかりと固定し、腰の曲がった人を作らない」ことが整形外科医(特に脊椎脊髄病専門医)の使命です。当院では初期の骨折にギプス固定やプラスチック製の硬いコルセットでの固定を積極的に行っています。
骨粗鬆症の治療はガイドラインに沿って行われます。日本骨粗鬆症学会はこのガイドラインを遵守し骨粗鬆症治療を行っていく医師を養成するために認定医制度を作っています(現在愛媛県では21人の医師が認定医を持っています)。
骨粗鬆症とは「骨が折れやすい状態」を指し、必ずしも骨密度低下を伴うものではありません。脆弱性骨折とは立っている位置から転倒するなどの軽微な外力で起こってしまう骨折です。この脆弱性骨折が脊椎あるいは股関節に生じると、骨粗鬆症の診断が確定します。
骨粗鬆症診断を正しく行うために必要なことは
の2つです。

「とりあえず高齢者だから骨粗鬆症の薬を出しておこう」では決して治療はうまくいかず、かえって害になることもあります。骨粗鬆症の最適な治療法を選ぶことは実は難しいです。骨粗鬆症の治療薬を決めるときには、患者さんの骨粗鬆症の状態に合った薬を選ぶことが必要です。
治療を始める際には必ず血液検査を行います。
基本は、患者さんの骨を作る力が落ちてないか、骨を溶かす力が増えていないか、そして血液中のカルシウムは足りているか、腎機能低下などは起こっていないか、です。
骨はタンパク質(コラーゲン)とカルシウムの合成体です。
カルシウムは単に身体の支えである骨を作っているのではなく、生命維持活動に最も重要な要素です。それ故に、体内に莫大なカルシウムの貯蔵が必要であるため、骨がカルシウムでできています。人間は常に骨のカルシウムを取りだして、生命維持活動に使って、それを常に食事などで補給しています。このバランスが崩れるのが骨粗鬆症です。
原因は
が考えられます。
そこで血液検査です。
これらを考えて最適な治療薬を選択します。
しかし、必ずしも理論通りの結果が出るわけではありません。
血液検査は定期的に行い、常に治療薬を見直していかなければなりません。
骨の吸収が増えていることによる骨粗鬆症には、骨吸収抑制作用のある薬(ビスフォスフォネート、SERM、デノスマブなど)が選ばれますし、骨を作る力が低下している骨粗鬆症にはビタミンD製剤でカルシウムの吸収を増やしたり、骨形成促進作用のあるテリパラチドやロモソスマブが選ばれます。しかしそれだけではなく、腎機能などの他の要素や薬の価格などを総合的に判断して患者さんにお勧めの薬を提示します。
骨粗鬆症は全身の病気です。治療薬を使う際には必ず定期的に血液検査を行い、治療薬を安全に使うように心掛けなければなりません。
よくあるのは高カルシウム血症です。骨を強くするためにカルシウムの吸収を増やすビタミンD製剤を使用すると、特に高齢者では血中のカルシウムが増えすぎて、腎臓に負担をかけて腎機能が低下していくことがあります。血液検査では血清アルブミンの測定も必須です。身体の栄養状態の指標になるだけでなく、低アルブミンの人ではカルシウムの計算値が異なってきますので、必ずアルブミン値で補正しなければ高カルシウム血症を見落とします。最近の「効果の高い薬」にはそれなりのマイナス面もあり、治療が長期に及ぶ骨粗鬆症では常に治療の弊害が生じていないかをモニターする必要があります。
また、定期的に骨密度も測定し、期待していた効果が得られているかどうかを見ることも重要です。十分な効果が得られなければ治療法を見直さなければなりません。さらに経過中に身長が縮んだり、背部や腰に痛みや違和感が生じたりすると脊椎の骨折が起こっているかもしれません。骨粗鬆症の脊椎骨折は「いつの間にか骨折」と呼ばれ、痛みがあまりなくても骨折していることがあるからです。あやしい場合にはとにかく背骨のレントゲンを撮ることが大切です。
このように骨粗鬆症治療の間は患者さんの状態から目を離さないように、安全に骨を強くしていかなければなりません。
骨粗鬆症の治療では薬だけでなく、栄養や運動も大切です。
カルシウムの摂取不足に加え、骨形成に重要なビタミンDやビタミンK、骨の材料でもあるコラーゲンの合成に必要なたんぱく質の摂取不足も問題となります。
骨粗鬆症の骨折の多くは転倒することによって起こります。足腰が弱って転倒する、部屋で何かに引っかかって転倒する、さらに身体のバランスが後方に寄っており、しりもちをつくなどが考えられます。以下に対策を示します。

まずは毎日歩くことです(階段昇降やジョギングは転倒リスクや膝の悪い人に使いにくい)
基本毎日、最低でも週5日、1回は20分以上。
20分のウオーキングとは
できれば1日3000歩をクリアしてほしい。

高齢者では腰や背中が曲がり、身体のバランスが後ろになることがあり、後方へしりもちをついて脊椎骨折を起こすことがよくあります。尾形クリニックの提案する体操は「背筋を伸ばし、身体のバランスを前方にもっていくようにする」運動です。